ヴァージルとナイキの新プロジェクト
そもそもの始まりはOFF-WHITEの2019年春夏コレクションでした。
アウトソール全体にスパイクを配したズームフライが突如登場し、世界中のヘッズやメディアを驚かせました。それから約4ヶ月、このシューズはNIKEとヴァージルの新プロジェクトである”ATHLETE IN PROGRESS”の一環として登場したもので、アッパーはオリジナル、ミッドソールはZOOM PEGASUS TURBO、アウトソールはスパイク状のオリジナルのものがセットされています。
THE TEN以降、コンスタントにリリースされてきたOFF-WHITEとのコラボレーションですが、最近ではアスリートをテーマにしたシューズへシフトしてきています。THE TENの頃にもズームフライをカスタムしたものがリリースされ、昨年夏に行われたテニス全米オープンでは電撃的な復活を遂げたセリーナ・ウィリアムズをテーマにしたAIRMAX 97がリリースされました。レディース、かつアスリートというのがヴァージルの現在のモードであることがわかります。
さて、本シューズは日本国内では6月末にリリースされ、3色とも抽選販売となりました。管理人は全て落選してしまったものの相方がなんとか当選。感謝。感激。しばらくは頭が上がりません。
フォトレビュー
では早速レビューしていきましょう。今回は気合いを入れてシューズボックスの外箱から。
さあ、次のスポーツ体験へ。
パカッと開けてみるとオレンジ色の箱が。
以前にコラボモデルのサッカースパイクがリリースされましたが、それを思い起こさせるシューズボックスです。
反射するほどに綺麗なオレンジ
箱から出して正面から。サイドに2つ穴が空いています。
サイド(1)
サイド(2)。こちらにも穴が。
逆側。こちらにも2つ穴が空いています。
右の穴からフライングで飛び出しているものが…?
サイド(3)
サイド(4)
こちらには商品タグが。
ウィメンズアイテムを購入するのは初めてですがメンズ、ウィメンズの両方のサイズが記載されています。
製品タグ
そして…シューズボックスをオープン。
濃いイエローの包装紙がお目見え。やや落ち着いた色合いとなっていて、どこかレトロな印象を与えてくれます。
レトロな印象の包装紙
そしてシューズ本体が登場。
オフィシャルフォトではわからないヴァージルのこだわりが開けた瞬間から伝わります。想像以上の出来栄えに驚いてしまい、箱から取り出さずに眺めてしまいました。
ご対面
シューズボックスから取り出して撮影。
ややグレーのスウェードがレイヤーの存在感を高めます。
震える…。
正面から。アッパーはシンプルなホワイトですが、ネオンイエローのシューレースが目を引きます。
本モデルの特徴は何と言っても二重になったシューレース。平紐の通常盤のシューレースの上からネオンイエローのシューレースが覆うように備え付けられています。
正面から
サイドから。ナイキのスウォッシュはプリントされたものに変更されています。
スウォッシュの先端につけられたオレンジのタブはアッパーにそのまま縫い付けられています。
サイド(1)
逆から。こちらもスウォッシュはプリントされたものになっています。
サイド(2)
そしてバック。
ヒール部分のNIKE AIRのロゴは同色で刺繍されたものとなっており、一目見ただけではNIKEのシューズとは気づかないのではないでしょうか。
バックから
イン側のスウォッシュはアルミ箔のような素材を利用し、これまでのオフホワイトと同様に縫い付けられているスタイル。
その上からいつも通りのメッセージがプリント。ここだけでアルミ、ポリ、スウェードの3種類が使われているのですが、この全てに吸着するようにプリントできるインクがあるとは。
スウォッシュのアップ
ここからはシューレースのディティールを見ていきましょう。
下の写真から見てもわかるように、ホワイトの平紐はAIRMAX97のようにアッパーの内側にしまわれ、外に出てきません。
一方でイエローのシューレースは全て外に飛び出しており、初代THE TENのVAPORMAXのようにアッパーから出ているシューホールに通されています。
シューレース(1)
トゥに近い部分は負荷がかかるためかプラパーツに。
シューレース(2)
反対側はヒモのシューホールを通っています。プラパーツなのは一方だけ。
シューレース(3)
スウッシュの上からヒモが通過。この作業、生産工程でかなり手間がかかりそうです。
シューレース(4)
イエローのシューレースはヒールに近いところまできています。
ここが紐を結んで足の邪魔をしないギリギリのラインなのでしょう。
シューレース(5)
シューレースのアップ。こちらはいつも通り”SHOELACE”のプリントが。
シューレース(6)
イエローの紐にもプリントあり。
過去。丸紐の場合にはプリントがうまくいかずに剥がれてしまうことがあったのですが、しっかりとプリントされていてNIKEの技術の進歩を感じさせます。
シューレース(8)
ちなみに光ります。
まぶしー。
そしてシュータンは小文字のnikeロゴ。ヴァージルのお気に入りですね。
シュータン
トゥには反転したスウォッシュが。
左右どちらも反転しているため、あえてこのようなデザインにしていることがわかります。(R)はそのまま。
トゥのスウォッシュ
いつもついている結束バンドは、プラパーツの上からザラザラした素材を吸着しており芝生ような触り心地。
結束バンド
結束バンドのアップ。

そして本シューズの最大の特徴とも言えるのがアウトソール。
剣山、またはスパイクのようになっていてリリース前は「これで喧嘩したらやばい」と思っていましたが、見た目がスパイクのようになっているだけで、実際には柔らかいラバーの素材になっています。

アウトソール(1)

アウトソール(2)
アウトソール(3)

アウトソール(4)004 STICKY RUBBERの文字

アウトソール(5)+4の文字

アウトソール(6)
スパイクのように見えるのは触っても怪我をしない、柔らかいラバー。
履いているうちに剥がれていくと思います。

当たっても痛くない
ヒールにはいつもプリントされていた”AIR”やの文字はなく、通常のPEGASUSのロゴが。

ZOOM PEGASUSのロゴ
アウトソールはミッドソールにかけて微妙に色が変わる仕様に。

アウトソール(7)
中敷は包装紙と同じイエローの仕様になっています。
シューズの全ての面でヴァージルのこだわりが満載。

中敷
おわりに
ウィメンズモデルであることかなり奇抜な見た目であることが原因なのか、本シューズの人気自体はそこまで高くない印象です。しかし、私にとっては、これまで手にしたどのシューズより感動は大きく言葉では言い表せないほど。
最近はダッドスニーカーブームも落ち着きをみせ、より多様なジャンルに細分化されています。YEEZYのようなミニマルなスタイルを貫くものや、メゾンブランドのように絶対的なクラフトマンシップに裏付けされたユニークネスを表現するもの、実に様々な選択肢が登場しています。
その中でも今回のモデルは独特な存在であると言えます。ヴァージル自身が持つ明確なビジョンをプロダクトとして昇華させ、工場での大量生産を前提としながらも、素材やディティールにこれほどこだわったものは存在しないためです。アウトソールについては「よくNIKEがOKしたな」と感じるほど。生産工程においてかなりの苦労があったのではないでしょうか。そして、他のシューズとほぼ変わらない値段ながら、スポンジ、ラバー、シューレース、スウィッシュのアルミ箔素材などを実現しているのは本当にすごい。
YEEZYのミニマルさとは対局でありながらも過去も現在も未来も全てが一足に集約された、「マキシマム」で「タイムレス」な一足は今後のスニーカー界で一つのアンカーになることは間違いなさそうです。

2020年に向けて、アスリートたちは進化し続ける。
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